関係支援

人を動かすことば

 たった一度、講演でお会いした若い先生。

二次会に参加されていた、とてもすがすがしい

青年で、印象に残っていました。その先生から

メールをいただいたのです。

「ブログを読んで、保護者のお話を伺ってみたい

と思った・・。」

というニュアンスのことばでした。

 駄文から、真摯にメッセージを受け止めてくれて

いるのだな・・と思うと、胸が熱くなりました。

 僕の拙著を読んで、実践したら子どもが育った

んですという若い先生が、その実践をまとめた

ものを送ってくださいました。いえ、正確には

僕が

「読みたい!!」

と懇願し、送っていただいたのです。

 僕の拙著の実践よりも、もっと豊かな実践が

そこにありました。

 拙著からメッセージを受け止め、そこから自分と

子どもの関係を作ってオリジナルの実践を作って

いってるのだと思うと、出版させていただいて

本当によかった・・・と思います。

 大切な仲間からのメールに

「今日も、僕の大切な仲間に、このブログを紹介

したところです。」

と書かれていました。仲間に紹介して下さっても

嬉しいのに「大切な仲間」に紹介くださったという

のです。喜びは更に大きくなりました。

 何気ない一言、でも、人を動かす一言。

 皆さんの一言に救われ、元気をもらい、勇気を出

して、また少しずつ前に進めます・・・。ありがとう。

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可愛いと思うこと

 ある幼稚園の研究会にて。公開保育、全体協
議と続いて、最後のコメントが回ってきました。

「誤解を恐れずに正直に言えば、僕は、ある
子どものことを考える時、その子のことが可
愛いと感じられるかどうか? 可愛いと感じ
られる場面はどんな時か? それを増やすた
めにはどうすればよいか? をいつも考えま
す。」

といったニュアンスのことを話しました。
 実に単純な物言いかもしれませんね。世の
立派な専門家の方々から笑われてしまいそう
な話かもしれません。
 でも思うのです。
 どんな方法を大切にするとしても、僕は

「可愛いと思えること」
「可愛いと思える場面を増やすこと」
「可愛いと思ってくれる人を増やすこと」

は、どの子にも共通する幸せへの道だろうと思う
のです。
 園から送られたアンケートに目を通していると
このことばに感想を書いてくださっている方がい
ました。

 何かが伝わったのかなと感じ、嬉しい気持ちです。

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5時間半

 土曜日の夜、電車で数十分かけて、二人の

先生が、会いに来てくださいました。通常学級

の担任、通級指導教室の担当の二人は、一緒

の職場で働いたことはありませんが、僕にとっ

て大切な仲間です。大喜びで駅前に。結局、

5時間半、ずーっと教育の話だけしたのでした。

 彼らは、元はと言えば、僕の信頼する一人の

友人と同じ職場の後輩にあたるのですが、いつ

のまにか、こうやって、一緒に学ぶ仲間になった

のです。

 側にいるだけで、僕も幸せな気分になる、不思

議な世界を持っている彼女と、誠実に前に進ん

でいこうとする彼。

 5時間半があっという間でした。

「友達のクラスのお母さんが、うちの子発達障害

かもしれない・・と言われるらしいんです。で、ど

のように応えて、どうしようかなって悩んでいる

みたいで・・。」

と話してくれました。

 うーん・・・。

 そのお母さんは、本当は何を伝えたいのかな。

 子どもが発達障害だって伝えたいのかな。

 発達障害だから、文字が上手に書けないって

ことが伝えたいのかな。

 発達障害だから、専門家紹介して欲しいと伝え

たいのかな。

 それとも、うちの子、みんなと同じようにできな

いから、わかってと伝えたいのかな。

 僕らは、それを考え、推察し、お母さんが伝え

たいことに対して、ことばを紡いでやりとりする

のが仕事なんじゃないかな・・・。

 そのような話をしながら、かといって答えを出

すでもなく、一緒に考えたのでした。そう、答えは

彼女と彼が自分で出すだろうから・・・。

 それにしても美味しいお酒。3杯も飲んだな。  

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学会

 学会の発表原稿やシンポジウムの原稿

締め切りが迫り、追いまくられた週末でし

た。

 今年度は、いろいろな立場の方と組ませ

ていただき、共同研究を進めようとしていま

す。

 研究者の方々はもちろん、医療機関で勤

務される専門職の方、巡回相談員として

現場を回っている方、保育士の方など、立

場の違う方とのやりとりは、大変刺激的で

あり、また勉強になります。主にメールでの

やりとりを中心に検討をしてきました。新た

な気づき、異なる視点など、個人研究では

わからなかったことがたくさんありました。

嬉しく、ありがたいことです。

 学会以外にも、今年度は、これまでお仕

事をご一緒したことのない方と組んでの仕

事の予定がいくつもあります。時間の捻出

に苦労と工夫はいりますが、一緒にお仕事

していただける方々に、感謝しながら学ん

でいこうと思います。

 そうそう、締め切りにはなんとか間に合

いました。危ない、危ない・・。

 

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耐性をつけていく時の鉄則

 自傷。

 他傷。

 暴れん坊などのことばを使うと、そのイメージが

緩和するが、実際にそのような状況の子どもたち

とつきあう際の、関わる側の緊張度は並ではない

でしょう。しかし、実際には、その緊張度が子ども

に伝わり、それが刺激になってしまうこともあると思

いますから、そのつきあいの難しさが、さらに増長

されます。

 身体に、こころにかかる負荷に対する耐性がほと

んどない場合に、負荷がかかった際には、それが

冒頭の行為(反応)となって表れてしまうことは十分

考えられると思います。

 最近、ある仲間から相談を受けたケースは、今後

の危うさが十分想像できる状況でした。にもかかわ

らず、通っている学校にその危機感が感じられませ

ん。今は、大けがもせずにどうなっているから・・とい

うことかもしれません。でも、それは、今後の展望

をもってはいない、その場しのぎだといわざるを得

ないと思います。

 環境を整えましょう。

 わかりやすい環境を作り、本人に負荷をかけない

ようにしましょう。

 「専門家」の方の助言があるようです。

 基本中の基本です。

 というか、これ、自閉症に限らず、私たち誰にでも

いえることかもしれません。でも、その日本語には

ちょっと違和感があります。

 本人に負荷をかけないようにしましょう。

 十分な配慮をして、人間的な成長をとげられる負

荷をかけましょう。

 教育としての日本語は、どちらが適切なのでしょう。

 対立した概念を示し、そこから、教育としての適切

さと豊かさを導き出すのが「専門家」の役だと思い

ますが、どう思われますでしょうか?

 この問題を考えるヒントとなる気がする文章に出

会いました。

 http://www2.bbweb-arena.com/tuitachi/myweb116_011.htm

 厚子先生の「怖さ ~「北の国」へ 」 です。

 先述した「十分な配慮」と、その繊細さについて考え

ていきたいと改めて感じた週末でした。

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お友達ができました

 教え子からメールをもらいました。甘えん坊の

幼稚園児がすっかりお姉さんになって、メールを

くれるだけでも、心に迫ってくるものがあります。

「もう、お友達ができました・・・。」

と綴られる文章の本当の意味は、過去の彼女の

しんどさに思いを巡らせないと読み取れない気が

しました。

 小さい頃、お友達が欲しいのに、どうやってお

友達と接したらよいかわからなくて、ドキドキして

いた子どもです。

 お友達へのことばかけを「一緒に」考えて、「一

緒に」やってみたことを思い出します。

 グループの学習を仕組み、そこで気の合う友達

づくりをプロデュースしながら「一緒に」過ごしたこ

とを思い出します。

 その関係を通して、彼女が、その友達から励まさ

れたり、教えられたりしたことも多かったのでしょう。

もちろん、逆に友達を励ましたり、教えたりしたこと

もあったのです。

 このあたりの経過をある論文に書いてみました。

話題にもなりませんでしたが、何人かの方からは

僕らしい切り込み方だと言われたのを思い出しま

す。

 当の彼女は

「お友達の作り方を教えてもらったから・・。」

のような言い方をしますが、そんなはずはないと

思います。友達は、スキルを学んでつくれるよう

なものではないと思うからです。実地の体験の中で

「一緒」に考え、「一緒」に進んでくれる人がいるこ

とが大切だと思うのです。その関係の中から、彼

女の成長を促したことがたくさんあったのでしょう。

 ソーシャルスキルトレーニングという話とは、似て

非なる話のように考えていますが、どうなのでしょう

・・・。

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日々の努力が

 高機能自閉症と思われる子どものお母さんから、

メールをいただきました。近況報告のメールでした。

 最近、スポーツ少年団に入ったこと。

 友達ができたこと。

 遊園地で、すごく待ったのに、大丈夫だったこと。

 妹を誘い、ことばをかけて、次のアトラクションに

行ったこと・・・などなど。

 成長した坊やの姿が目に浮かぶ内容に、これま

でのお母さんのご苦労と努力が思い出されたので

した。いや、苦労し、努力したのは親子ですね。

 親子で「一緒」に進んできたから・・。

 自閉症の子どもが、人を信じ、人を気遣い、自分

を振り返り、自分を律して生きていこうとする場面

にたくさん出会ってきました。彼ら、彼女らは、人と

の関係の中で育ってくるのだと思います。その時

の苦労を「わかろうとする人」と「一緒に」歩む人が

いれば、独りぼっちにはならない。そんなことを感じ

たメールだったのでした。

 

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良質の日本語を

 ブログの更新を随分怠ってしまいました。

 この2週間、なかなか自分の時間が取れず

パソコンに向かっても、ことばが浮かんでこな

い状態。やっと、大きな仕事が1つ一段落し

少し落ち着いたところです。

 このような状況で、僕は、いつも良質の

日本語に触れて、自分自身の感覚を確かめ

たり、エネルギーを蓄えたりするようにしてきま

した。

 最近、ある仕事の中で

「丁寧な記述は読まれないから、できるだけ

簡略にまとめよう。」

と言われました。

 ある意味正しい話です。

 でも、恐ろしい話でもあると感じます。

 良質の日本語の持つ力に、これまで救われ

てきたのです。また、良質とは言えないまでも

ことばにこだわりながら、自身の仕事を作って

きたとも言えます。

 僕の師匠、片倉信夫先生(かくたつグループ)

のホームページは、毎月1回更新されます。

毎月書き下ろして下さる先生の日本語に触れ

ながら、何かを感じられるかどうかが、僕自身

の仕事の状況のバロメーターかもしれません。

何も感じられなくなったら、臨床家の端くれとし

て、特別支援教育に携わる人間として、赤信

号点滅・・・。そう思えば、滅多にお会いできな

くなっている先生も、実はいつでも自分の近く

にいてくださるのですね。

 片倉信夫先生のウエブページです。

http://www2.bbweb-arena.com/kakutatu/index.html

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説明することば

 ある自主研修会に出席しました。お二人の実践

発表を伺い、それを元にコメントしながら講演する

のが、僕に与えられた任務でした。

 その中で、僕が話したトピックの1つは、説明のこ

とばです。

 ある子どものエピソードを話すとき。

「我慢ができない子どもなんです。」

と話して説明するか、

「止めようとはするのですが、止めきれなかった子ど

もなんです。」 

と話して説明するか。

 どちらも、ある子どものことを説明することばな

のですが、聞き手への伝わり方は、違うんじゃない

かな・・・と思うのです。

 同様に

「嫌なことはやらない子どもです。」

と言うか

「嫌なことでも、やろうという気持ちは出てきている

のですが、実行は、まだできない子どもなんです。」

と話すかでは、これまた子どものイメージが異なって

伝わるように思います。

 これらは、単にことばの問題なのでしょうか?

 僕は、違うかなと思っています。

 これは、子どもを見つめる語り手のまなざしの

結果だと思います。

 子どもの見方の結果です。

 子どもへの思いの結果です。

 どのようなことばで、子どものことを説明するか?

 どのようなことばで、子どもを語るか?

 そこには、語り手の子どもの見方が表れます。だ

から、研修会で、子どもの様子(厳密には、語り手

と子どもとの関係ですね)を語ることを大切にして

きました。そして、いろいろな意見を聞きながら、

自分の考え方や支援について振り返ることを目的

としています。

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力を抜く

 親御さんが作られている自閉症の子どもたち

のサークルに伺いました。

 小学生、中学生10人程度が集まり、運動をし

たり、身体の力を抜いたりする練習に取り組み

ます。行動やメンタル面の修正をしたり、自分自

身の状態を確認したりするのが目標です。

 そのメニューの1つに「寝かせ」があります。

 横になり、あおむけで身体の力を抜いていきま

す。また、身体の動きを止めます。

 ある中学生の子どもが寝かせをしていました。

 久々の参加で、かなり緊張した面持ち。身体

には、見るからに力が入り、顔にも緊張の色が

ありあり。眉間にしわが寄り、引きつった感じの

表情で部屋にいたのでした。

 寝ている彼に一言断ってから、彼の足に触っ

ていきました。力が入り、太ももが張っています。

それを、両手の平で包むようにしながら、力を

抜いていきました。触っていると、抜けた瞬間が

わかります。そこで、良い感じであることを話な

がらこちらの両手の力を緩め、微妙なやりとりを

していきます。明らかにゆるんだ感じが見られ出

した彼の表情は、先ほどとは変わり、顔の力も

緩んだ感じになりました。眉間のしわも、消えて

います。

 緩んだ・・という実感が彼自身にもてるように

「今緩んでいるぞ。良い感じだね」

などと声をかけながら、運動メニューに入ってい

ったのでした。

 この会では、単に運動メニューをこなすことや

寝かせをすることを目指していません。

 子どもとやりとりをすること。

 やりとりを通して、子ども自身に、心地よい感じ

自分自身についての気づきを促すことを目指して

います。

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