書籍・雑誌

「町医者理論」:『石川晋 エピソードで語る教師力の極意』を読んで

 

 石川晋氏の標題の新著を拝読した。

 

 石川さんは、同い年の盟友の一人だと僕は

勝手に思っている方である。

 

 この本は、同名のタイトルで10名の人が

書いていくシリーズで有り、氏の著作は

そのシリーズのトップを切って刊行されたもので

ある。

http://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-137117-3

 巧みな筆致で描き出される石川ワールドで

あるが、今回、一番「やられたな~」と思った

ところは最終第10章で提案されている「町医者」

理論である。氏が述べる「町医者」とは「必要と

する人々に向き合い、日々を大切にし、誠実な

仕事ぶりで町の人々から賞賛される」人である。

そして彼は「私が考える教師像も、こうしたもの」

と言う。

 

 彼は更に述べる。「自分の身の丈にあった理想の

教師像を思い描きましょう。喜びや苦しみを共有

しながら、みんなで伸びようとする雰囲気を、教

室に職員室に、作り出せる教師であり続けましょう。

自分の得手不得手を自覚して、つながりを大切

にしながら協同で仕事ができる教師を目指しま

しょう。そういう教師としての在り様を、私は「町医

者」にたとえています。」

 田舎の通級指導教室の教師として、細々と、

当たり前のことを、少しだけ丁寧にやって来たつ

もりの私も「町医者」教師を自認していただけに

「やられたな~」なのである。そして、嬉しく、共

感して読んだ。

 

 気分転換に先日から読み直している島耕作シ

リーズのコミックに、若き頃の島が、本社から

大阪営業所事業部に配属になるくだりがある。

そこで、本社での仕事の仕方との違いを同僚から

諭される場面があった。日本の経済を見つめて

いる本社の仕事のやり方ではダメなんだ・・・と。

 

 何か共通するものを感じた。

 このシリーズ、もうすぐ執筆陣の末席に私も

加えていただいて刊行予定である。そこにかなり

悔いが残った。

 私が、障害のある子どもとずっとつきあってきた

理由が綴りきれていなかったと思ったからだ。

 

 私が、夜行バスで往復し、状況を重ねて学んで

いたのは、当時、本当に情報が少なかった地域の

子ども達や家族が必要としていることを少しでも

活用しよう、活用してもらおうという思いがあった

からである。そして、いろいろな人たちとつながって

いくことで、ほんの少しでも前に進んでいけるかも

しれないと思っていたからだと思う。

 

 彼の言葉を借りれば「自分の現状と密接な学び方」

を模索していたといえるだろう。

 

 初任当時、私を育ててくださった影山訓美先輩から

「関係機関とかに電話した時に、顔が浮かぶような

人を作りなさい。」

と教わった。

 

 連携とは何か?

 

 つながりあって仕事をするとは何か?

 高尚な理念ではなく、現場で、地域で必要なことを

生活実感(実践実感)のあることばで教わった。

 特別支援教育における「町医者理論」

 

 僕も書いてみたい心境である。

 

 『石川晋 エピソードで語る教師力の極意』

 

 自信を持ってお薦めの1冊である。

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長瀬拓也さんの新著から考えたこと

 岐阜の中学校教師、若き天才だと僕は思っている

長瀬拓也さんから新著を送っていただいた。『誰でも

うまくいく!普段の楽しい社会科授業のつくり方』黎

明書房 である。

誰でもうまくいく!普段の楽しい社会科授業のつくり方

 彼の書いた初めての授業づくりに特化して向き合

った本だと思う。いつか、授業に特化した本、自身の

実践について書き込んだ本を書いて欲しいと思って

いたので、率直にいいなーと思って読んだ。

 この本の中で、僕が卒論で研究させていただいた

長岡文雄先生が取り上げられている。奈良女子大学

附属小学校で長く教鞭を執られた社会科授業の

大実践家である。

 僕にもずっと心に刻まれ続けてきた長岡先生の

ことば「子どもにとっての切実さ」を長瀬さんも取り上

げておられて、とても嬉しい気持ちになった。

 学生時代、社会科教育を学んでいた僕が、結局は

障害のある子どもの教育に携わり続けてきた。しかし

「子どもを見つめるまなざし」「子どもの世界を見つ

める」ことを実践の基盤においてきた(つもり!)

ことの根幹に、長岡先生やゼミの指導教官であった

高山芳治先生(現在 京都女子大学教授)の影響が

あったのは間違いないと思う。

 学びとは、今を大切にすることでもあり、また、

未来への投資でもあるのだろう。

 その時その時を大切に生きることが、形を変えて

影響し、それぞれの自分の道を生きる中で生き残る

こともあるのだと思う。

 おっと、長瀬さんのご著書の紹介から離れてしま

った。

 明快な彼の文体とわかりやすい表現の1冊である

このご本、小学校の若い先生方とそのたまごの皆さ

んにおすすめである。

 欲を言えば、1本でいいから、目の前の子ども達と

切実に向き合って一緒に作り出した授業実践を

書いて欲しかったと思う。が、そのような「不透明な」

「迷っている」ものを書き込むと、この本のコンセプ

トから外れるな。ないものねだりはダメだと思いつつ、

子ども達と一緒に作ろうとした、そして作った事実を

知りたいなーとリクエストしておくことにしよう。

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池田修著『教師になるということ』

 日本の未来を創る若い先生方が、すぐに辞めて

しまうような状況を作ってはならない。

 ベネッセ教育情報サイトの以下の記事は、厳しい

現実の一端を示しているように思える。

http://benesse.jp/blog/20071004/p2.html

 だからこそ、教師の卵はしっかり勉強し、準備して欲しい。

 とにかく、今は、たくさん本を読んだ方がよい。

 多読でよい。

 考え方が偏らないよう、あれこれ多読した方がよい。

 1冊紹介しておこう。

 池田修著『教師になるということ』ひまわり社 である。

http://www.amazon.co.jp/%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8-%E6%B1%A0%E7%94%B0-%E4%BF%AE/dp/4902232413

 うーん・・まあ騙されたと思って読んでみて欲しい。

 定価860円。

 安い投資だと思うよ。

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安心感!! 中村健一先生の新著より

 『教室に笑顔があふれる中村健一の安心感の

ある学級づくり』 中村健一著 黎明書房 をいた

だいた。

http://www.amazon.co.jp/%E6%95%99%E5%AE%A4%E3%81%AB%E7%AC%91%E9%A1%94%E3%81%8C%E3%81%82%E3%81%B5%E3%82%8C%E3%82%8B%E4%B8%AD%E6%9D%91%E5%81%A5%E4%B8%80%E3%81%AE%E5%AE%89%E5%BF%83%E6%84%9F%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E5%AD%A6%E7%B4%9A%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A-%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AE%E9%81%94%E4%BA%BA%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6-2-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E5%81%A5%E4%B8%80/dp/4654002723

 中村健一先生。

 山口県の小学校教師をされている。

 いい男である! ルックスはもちろん、人柄が

ステキである。

 笑いを教育に取り入れるという分野で、日本の

実践者者として第一人者の地位を築かれたと

思う方だ。近くの県で仕事をされている方なのに

1月には北海道、8月には福岡と離れた土地で

出会っておしゃべりした。

 彼の実践スタイルとは相当違う僕などに対し

ても、受け入れ、尊重してくれる。

 これだけ有名になっていても、自分以外のもの

をけなさない。

 そのような彼が主張する「安心感」ということば

信用できるなーと思う。

 この新著では、先生の具体的な実践を紹介さ

れながらも、「フリ」「オチ」「フォロー」のフレーム

でお笑いを分析するという「理屈」を使って、笑

いの、メカニズムを教えてくれている。

 また、陣内智則さん、明石家さんまさん、今

田耕司さんらプロのお笑い芸人を取り上げての

考察と学びもおもしろい。

 多様な子ども達が、安心して学べる基盤とな

る学級づくり。そのキーが「安心感」だと改めて

感じた。

 お薦めの1冊である。

教室に笑顔があふれる中村健一の安心感のある学級づくり (シリーズ・教育の達人に学ぶ)

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長瀬拓也著『失敗・苦労を成功に変える 教師のための成長術「「観」と「技」を身につけるー』

 長瀬拓也氏。

 まだ若いが、新進気鋭の中学校教師である。

 既に多くの著書を出している彼の新著をいた

だいた。

 ちょっと長いタイトルである。

『失敗・苦労を成功に変える 教師のための成

長術「「観」と「技」を身につけるー』

http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%B1%E6%95%97%E3%83%BB%E8%8B%A6%E5%8A%B4%E3%82%92%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%AB%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%8B%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%88%90%E9%95%B7%E8%A1%93%E2%80%95%E3%80%8C%E8%A6%B3%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E6%8A%80%E3%80%8D%E3%82%92%E8%BA%AB%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%91%E3%82%8B-%E9%95%B7%E7%80%AC-%E6%8B%93%E4%B9%9F/dp/4654018514

 彼ほどの人が、新卒の頃にはいっぱい失敗

していたという事実。

 失敗から学ぶことの大切さを解いていること。

 学ぶ時に「観」という斬り口を提示していること。

 よくある「若い教員へ・・」的な本とは違っている。

 畑村洋太郎氏の「失敗学」の考え方を思い出した。

http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%B1%E6%95%97%E5%AD%A6%E3%81%AE%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81-%E7%95%91%E6%9D%91-%E6%B4%8B%E5%A4%AA%E9%83%8E/dp/406210346X

拙いながら、僕自身、講演で20年前の頃の臨床と

その内省について語ることがある。

 あの失敗だらけの臨床から学んだことは大きい

のだ。

 その意味で、彼の主張と執筆意図にとても共感

する。お薦めの一冊である。

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「スーパー名医」が医療を壊す

『「スーパー名医」が医療を壊す』 村田幸生著

祥伝社新書 を読んだ。

 著者は言う。引用する。

「医療崩壊を止めることができるのは、有名な

大学教授や医療評論家でもなければ、「神の手」

を持つ名医でもなく、医者の大部分を占めながら

特に名を知られることもなく、日々患者さんと接し

ている普通の医者たちであることは、間違いない

と確信する。」  

 多くの著名な医療ドラマや漫画を例に、医療崩

壊の現状と、医療現場の実態と課題、そしてその

解決のヒントが論じられている。

 スーパー教師やスーパー技術に置き換えてこの

本を読むと、日本の教育の現状について考えさせ

られる。

 技術を生み出す。

 技術を紹介する。

 技術が広まるためのフォローシステムを作る。

 これらの努力、仕事が必要である。

 しかし、同時に

 日々の生活(仕事)の中に技術が活きる。

 つまりは「技術の生活化」とでも言うべき状況が

生じるためには、別の仕事が必要なのだと思う。

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明日の教室DVD

 京都の糸井登先生、池田修先生がプロデュース

されている研究会「明日の教室」。

 毎月1回、全国から、信じられないような著名な方

が登壇される会である。

 大学生の時から、このような研究会に参加してい

る若い人たちがたくさんいる。これからどのように

育っていくのだろう・・・。凄いことだと思う。

 その研究会に登壇された超一流講師の方の講義を

撮影したDVDが発売されている。

http://www.sogogakushu.gr.jp/asunokyoshitsu/dvd_1.htm

 京都になかなか行けなくても、超一流の方と家で出会うこと

ができる。

 お勧めだ。

 20代の頃、月にいったいどれくらい本を買っていただろう。

乱読ではあったが、とにかくひたすら読んでいた。

 今は・・・。

 いかんな~。

 インプットしなくては。

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そだちの臨床 発達精神病理の新地平

 杉山登志郎先生の御著書である。

 日本評論社から、この9月に出されたばかりの

この本は、まさに本物のプロフェッショナル。本物の

研究者。本物の臨床医のお仕事が、いかに凄い

ものであるのかを教えてくださるものだと思う。

 同じような内容の書物が氾濫する中、これは、まさに

最新の知見、それも、臨床に、教育実践につながる、

支えになる最新の知見を示してくださっている。

 特に、虐待と発達障害の絡み、関連性、相違性につ

いての研究成果が凄い。

 また、僕らがこれまで細々と取り組んできた「関係づくり」

「衝動コントロール支援」について、「愛着」をキーワードに

論を展開されている。実践の背景となる、基盤となる可能

性のある理論を提示していただくことは、大いに勇気づけ

られる。

 エビデンスを示すことができれば、実践の意味づけも

より明確になるだろう。

 昔々、ある研究会の時に、杉山先生と隣の席でお食事を

ご一緒したことがある。

「地元まで行くから、研究会企画してごらん」

とまで言ってくださったのに、実現」させられなかった。

 今から考えると、なんというもったいないことをしたのか。

 品のないことばで言えば、本当にアホである。

 こんなチャンスを逃しているから、大して力がつかないで

いるのだろう。

 これに懲りて、その後は、割とチャンスを逃していないよ

うにも思う。言ったことは、かなり実現させてきたつもりだ。

と言っても、大した企画力はないのだが・・・。

 この本、これから何度も何度も読むことになるだろう。

 一度目で、付箋とマーカーだらけではあるが、まだまだ

美しいこの本を、いかに汚せるか。自分自身の問題だ。

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小林宏明著/『学齢期吃音の指導・支援』

 金沢大学の小林宏明さん。

 吃音研究者として、若手のホープというよりも

既に日本の第一人者のお一人になっていらっし

ゃる方だ。

 これまでに何度かお仕事をご一緒させていた

だいたことがある。僕の現場に来ていただき、

へったくそな、でも、思いだけはいっぱいあった

授業を見ていただいたこともある方だ。

 現場を大切にしてくださる、でも、現場を見下さ

ない研究の方だと思う。

 その小林さんの新著が出た。

『学齢期吃音の指導・支援』 小林宏明著 学苑社

http://www.gakuensha.co.jp/cn27/pg335.html

 これまでのご研究の成果をまとめられたものである。

 指導プログラムを組み立てるためのコンテンツや

実践例をまとめたこの本。こういった形での学術的かつ

臨床的な本は、これまで日本では、ほとんど類を見ない

ものだと思う。

 さすがである。

 

 吃音臨床を「心理学的」にとらえて、それを教育に

応用するという試みが多く行われてきた印象がある。

小林さんの御著書は、それらの試みを「教育的に」

整理しているといえるかもしれない。もちろん、これま

での多くの日本における「教育的」実践を整理し、体

系的に示されようとしている大きな仕事だと思う。

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教師のための時間術/長瀬拓也著

 とにかく余裕なく、かろうじて日々を過ごした

11月が終わった。

 深夜に帰宅し、夕食後に再び翌日の資料に

目を通したり資料を作ったりする生活が望まし

いはずはないのだが、どうしようもなかった。

力不足と段取りの悪さゆえである。

 そんな中、2度の東京出張を利用して読みた

かった本を数冊読んだ。その内の1冊が標題の

『教師のための時間術』長瀬拓也著 黎明書房

である。

http://www.7andy.jp/books/detail/?accd=32340756

 著者の長瀬氏は、まだ20代!

 しかしこれが2冊目の単著である。

 私など30代後半で、やっと初めての単著を書か

せていただいた。未だ、3冊の単著と1冊の編著

である。

 彼とは比べるまでもない。

 彼は、これからの日本を引っ張る教師になるだろう。

 やりたいことがやりたければ、時間を作る必要がある。

 大切なことがやりたければ、時間を作る必要がある。

 大切な「無駄」を行いたければ、不要な「無駄」を省く

必要がある。

 日本の教育の大切な大切な卵である若い先生方を

守り、やめさせず潰さず、そして、羽ばたいてもらうた

めの努力が僕には足らないな・・・・。長瀬さんの本を

読んで反省である。

 教師の方々に、一読をお勧めしたい1冊だ。

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