« 長瀬拓也さんの新著から考えたこと | トップページ | DVDになりました「僕が自閉語を学ぶわけ」 »

学びにくさを有する子どもへの学びのしかけ

 学びのしかけメールマガジンに2年にわたって

連載をさせていただいてきた。ここで連載も一区

切りとなる。そこで、これまでの原稿を振り返り、

少々の意味づけを試みた。

 来年度は、学会その他で、この取組を継続して

発信する予定である。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

ランキングに参加しています。よかったら応援の

1クリックをお願いします

メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
               192号 2012年1月22日発行
                      (毎週火金日発行)

http://www.jugyo.jp/
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
★目次★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.学びにくさを有する子どもへの学びのしかけ
            ~2年間の連載を通して見えてきたこと~
                       「インクルージョン」編集委員
                            ノートルダム清心女子大学  青山 新吾
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 青山新吾さんの登場です。今回で連載はひと区切りとなります。2カ年
にわたる執筆稿の流れを整理して、価値づけをしてくださっています!
                           (石川 晋)
------------------------------------------------------------------
1.学びにくさを有する子どもへの学びのしかけ
            ~2年間の連載を通して見えてきたこと~
                       「インクルージョン」編集委員
                            ノートルダム清心女子大学  青山 新吾
------------------------------------------------------------------

 ある学生との会話である。
 「教育実習で、子どもたちの発言があまりにも少ないから、学習ゲーム
を使った算数の授業をさせていただいたんです。」
 「へー、おもしろそうだね。」
 「そうしたら、いつもと授業とは違って、子どもたちがイキイキ活動し
たのです。」
 「活動が活発に見えたわけだね。」
 「授業が終わってからの担当の先生からのご指導で『子どもが頑張って
いましたね。でも、5年生の授業としては騒がしすぎましたね。』と言わ
れたのです。」
 「なんと!」
 「あー、これが青山先生が以前講義でおっしゃっていたことなのか~と
思いました。」
 「うん。まさか、それをその場で言ったとか!?」
 「いえ、黙っておきました(笑)。」

 ここには、誰かが決めたことではないにもかかわらず、小学校高学年の
授業は静かに行われるものであるという前提があるように思われる。そし
て、ここには「子どもにとっての学びの内容」といった、子どもの「学び」
という発想がないように見える。
 しかし、本連載でこだわってきたのは「子どもにとっての学び」である。
しかも、それは「学びにくさを有する子どもの学び」である。
 2年間の自身の論稿を振り返り、見えてきたことを考えたい。

 メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」(以下メルマガとする)
第51号では、ある自閉症・情緒障害特別支援学級での様子を報告した。
そこでは
・ことばや状況の理解
・友だちとの人間関係の難しさ
に課題を有すると思われる子どもが、友だちと「協力」して複数のブック
エンドを制作し、それらを校内の他のクラスにプレゼントする一連の取組
があった。

http://jugyo.jp/?p=220
 この取組では
・グループで
・子どもの興味関心のある題材で
・周囲からの期待を感じながら
・「協力」する場面が生じるように
・後で「視覚的に」授業を振り返ることができるような
「学べるためのしかけ」が施されていると考えた。

 メルマガ第80号では、通常の学級の算数の授業の中で見た「協同的な
学び」で学べないように見える子どもの様子を報告した。

http://jugyo.jp/?p=336
 そこでは、単に「協同的な学び」の場面を設定するだけでは、依然とし
て学びにくい子どもが存在すること、その場合には、個別のかかわりの中

・子どもの試行の筋道を知りたい
・子どもの「本人論理」を知りたい
・子どもの「しんどさ」を知りたい
・子どもと感情の交流をしてみたい
といった願いを持った。協同的な学びでは学びにくい子どもについて、子
どものことばに耳を傾け、子どもと対話し、人と一緒に、学びにくい子ど
もたちの「学びやすさ」を考える作業の必要性を考えた。

 メルマガ106号では、ある通常学級の算数の授業における「学びにく
さ」を有する子どもたちの様子とそこへの「しかけ」を考える際の発想に
ついて報告した。

http://jugyo.jp/?p=422
 そこで見た子どもたちの「学びにくさ」を
・言語指示の理解しにくさ
・理解のスピードのゆっくりさ
・活動のゆっくりさ
・基礎知識等の不十分さ
・自信のなさ
等ととらえた。そしてその子どもたちの「学びやすさ」のためにしかけを
「教師による個別指導の時間確保」以外に探ろうと試みた。その際最も重
要なのは、学習に苦戦している子どもたちについて「教えやすさ」の発想
だけではなく、「学びやすさ」へ対応する発想を持つことだと考えた。

 メルマガ145号では、大学における自身の講義の様子について報告し
た。

http://jugyo.jp/?p=532
 多様な実態の子どもたちをくるんだインクルーシブ発想の教育を考える
際の重要な視点に、「協同的な学び」があると考える。それを学ぶ過程に
おいて、まずは私たち関わる側自身が「協同的な学び」を実感することが
重要だと考えた。 
 
 これら4本の論稿のそれぞれのキーワード、キーフレーズは
 ・学びのしかけ
 ・協同的な学びと学びにくい子ども
 ・「学びやすさ」の発想
 ・関わる側の実感 
であった。

 この秋弘前大学で行われた日本特殊教育学会において、自主シンポジウ
ム「保育・教育現場の多様な実態に応じた取組を考えるその1 ー子ども
の「学びやすさ」に応じるー」を企画した。
企画者・司会者   青山 新吾(ノートルダム清心女子大学)
企画者・指定討論者 堅田 利明(大阪市立総合医療センター) 
企画者・指定討論者 久保山茂樹(国立特別支援教育総合研究所)
話題提供者     森本亜紀子(あけぼの幼稚園)
話題提供者     上條 晴夫(東北福祉大学)
指定討論者     藤原 友和(函館市立昭和小学校)
のメンバーで行ったこのシンポジウムでは、幼稚園での一人一人のそだち
を確かめつつのゆるやかな学びの環境の整理から学べること、小学校以降
の教育において、教師たちが子どもの側に立つことや、学びやすさの実現
に向けて、省察し変容していくことを妨げているものは何かについての問
いかけがなされた時間であった。
 今年も、データを元にして、このテーマでの自主シンポジウムを継続す
る予定である(2012年9月28日~30日 於:筑波大学)。

http://www.jase.jp/common/img/50taikai.jpg
 
 2年間の取組から見えてきたことは何か?
 それは、教育の根幹に流れる「学びやすさ」の発想を実感していくこと。
 また、単に協同的な学びを行えば、「学びにくさを有する子ども」が学
べるようにはならないこと。そのためには、協同的な学びの精度を上げる
とともに、個への必要に応じたかかわりが重要であると思われる。つまり、
それらを併せた形での、個を見つめる「個の物語」を丁寧に紡ぐ必要性を
感じるのである。 
 これらの課題を踏まえ、今後も愚直な取組と検討を行っていこうと思う。
そして、それを提案できる形にしていきたいと考えている。
 2年間お読みくださった皆様、ありがとうございました。

授業づくりネットワーク誌の最新号
http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
------------------------------------------------------------------
【編集後記】
------------------------------------------------------------------
 青山さんにはこのプロジェクトの立ち上げ当初から関わっていただきま
した。青山さんご自身にとっても、行政職から大学へ転出という大きな節
目の時期にご執筆いただくことになりました。お忙しい合間を縫ってのご
執筆に感謝です。
 青山さんの御講演のDVDが発売になりました。私も早速購入しました。
おすすめです。
 明日の教室DVDシリーズ第20弾「僕が自閉語を学ぶわけ」(kaya)
 
http://sogogakushu.gr.jp/asunokyoshitsu/dvd_020.htm

 次号は、江間史明さん。ワークショップチームから登場です! どうぞ
お楽しみに! 
==================================================================
メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第192号(読者数1825) 2012年1月22日発行
編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)
twitterはこちら⇒
http://twitter.com/#!/gbc02527
Facebookはこちら⇒ http://www.facebook.com/haruo.kamijo
編集部ではチームに分かれてMLによって原稿検討を行っています。本メ
ールマガジンの記事を読んでいただいた率直なご意見・ご感想をいただけ
ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
 編集長:石川晋
 副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之
登録・解除
http://www.mag2.com/m/0000158144.html
==================================================================

|

« 長瀬拓也さんの新著から考えたこと | トップページ | DVDになりました「僕が自閉語を学ぶわけ」 »

特別支援教育」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/403660/43839927

この記事へのトラックバック一覧です: 学びにくさを有する子どもへの学びのしかけ:

« 長瀬拓也さんの新著から考えたこと | トップページ | DVDになりました「僕が自閉語を学ぶわけ」 »