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メルマガ:子どもを見つめるまなざし

 連日の研修、講演が続いている。

 昨年度までと違い、思いきって、子どもとの関係づくりの

話を中心に入れている。

 子どもを見つめるまなざしをどのように変化させられ

るか? が大きなテーマだ。

 神吉さんとはまだお会いしたことがない。

 この夏、福岡で初めてお会いできる予定だ。

 僕が、こういう仕事がしたいなーと思っていたイメージを

数段豊かにしてなさっている実践家だと思っている。

 その神吉さんのご論考を転記します。

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1.子どもを見つめるまなざしを変える
            「インクルージョン」編集委員
                 北九州市立今町小学校  神吉 満
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 初登場、北九州市の神吉満さんです。今夏開催の授業づくりネットワー
ク福岡大会でもご登壇いただく予定になっています。注目のご論考です。
                           (石川 晋)
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1.子どもを見つめるまなざしを変える
            「インクルージョン」編集委員
                 北九州市立今町小学校  神吉 満
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 インクルージョンチームの神吉満です。自己紹介をします。小学校で普
通学級の担任を14年間してきました。インクルージョンという言葉を知
ったのはここ数年のことです。今は、そのことについて真剣に考えるよう
になりました。きっかけはAくんとの出会いです。
 私が今勤務している学校は、なかなか厳しい学校です。子どもたちは様
々なニーズを持っています。これまで勤務してきた学校からは考えられな
いくらいにです。そんな中にAくんはいました。
 Aくんは、就学相談で隣の学校にある特別支援学級を勧められたそうで
す。しかし、保護者の希望で本校の普通学級に入学することになりました。
2年生までは、教室に入るのが難しく、教室にいてもみんなと一緒に学習
することはなかったそうです。
 Aくんが、普通学級でみんなと一緒に学習するにはことに困難さを持っ
ているのは分かりました。私は、学級の現状やAくんの特性から普通学級
で学ぶのはやっぱり難しいのではないかと考えていました。特別支援学級
で学んだ方がよいのではないだろうかという気持ちを持ちながら4月のス
タートを切りました。
 Aくんは、よくものをなくしました。その度に泣き叫んでいました。床
に落ちているのを見つけて渡すと泣きやみました。そして、次の瞬間から
けらけらと笑っていることもありました。
 Aくんは、大きな音が苦手なようでした。雷をとても怖がっていました。
また、みんなが音読を始めると
「うるさい!」
と言って教室から出て行きました。
 Aくんは、急に大きな声を出して怒り出します。突然です。使っていた
鉛筆の芯が折れたとか、消しゴムが床に落ちたとかいったことが原因です。
「なんかこらっ!」
と大声を出して机をたたいたり、蹴ったりします。びっくりしてかたまっ
てしまう子どももいます。また始まったという目で見ている子どももいま
す。それに気づいたAくんは
「お前、今笑ったやろうが!」
と言って胸ぐらをつかんで殴ろうとしたり、その子どもの椅子や机を蹴っ
たりします。授業は中断です。
 Aくんのまわりにはトラブルが絶えませんでした。やっぱり難しいのか
なぁという思いを強めていたときにインクルージョンという言葉に出会い
ました。そして、子ども達がこれから生きていく世界では、Aくんも含め
たみんなが安心して暮らせる力を身につけることが、重要だと考えるよう
になりました。
 その頃『特別支援教育を創る!』(青山新吾 著 明治図書)という本
に出会いました。   http://www.amazon.co.jp/dp/4180134322/
そして、Aくんの行動の意味を読み解くことができれば、なんとかなるか
も知れないと思うようになっていきました。私はAくんの行動の意味を知
るために、観察して気付いたことをもとに本人に教えてもらうというスタ
イルをとりました。
 ある日、Aくんは感情的になって友だちの胸ぐらをつかみ今にも殴りか
かろうとしていました。それをみつけた男性の先生が抱きついて止めてい
ました。すると泣き叫んで暴れ出しました。そのとき4月頃Aくんが
「神吉先生はだっこしてくるけ好かん」
と言っていたことが頭をよぎりました。少し落ち着いてから
『Aくん、体を触られるのは嫌いなんだね』
「きらいなんよ」
『じゃあ、止めるときは触らないほうがいい?』
「あたりまえやろう」
『じゃあ、今度からは触らないように気をつけるね』
と話しました。その後、やむを得ないとき以外は、感情的になっているA
くんを触らないようにしました。すると、落ち着くまでの時間が驚くほど
短くなりました。
 別のある日、Bくんとトラブルになりました。事情を聞くと両方に言い
分がありました。
『じゃあ、相手に謝ってほしいことをお互いに言って、謝ったらいいんじ
ゃない』
と提案すると、Aくんの方から話し始めて、先に謝りました。しばらくし
てから
『Aくん、何で先に謝れたの。違ったら違うって言ってね。最近、Bくんと
よく話すことがあって、Bくんなら先に謝っても文句を言ってこないと思
ったんじゃない?』
「そう。Bくんは文句いわんけ」
『そうか。よかった先生が思っていることとAくんの考えが近くて嬉しい
なぁ。先に謝れたの初めてでしょ?よかったね』
 こういうやりとりが増えていきました。全く違うこともありましたが、
Aくんの行動の意味が少しずつ分かるようになっていきました。
 その頃から、Aくんがトラブルになっていたり、私が理解できない行動
をとったりしたときには
『どうしたの?困ってるんじゃない?教えて』
と優しい声で言えるようになっていきました。
 こうして分かったこと(どんなときに、どんな反応があったのか)を付
箋紙に書き、グループ分け(類型化)していきました。そして、さらに気
付いたことを書き込んでいきました。
 その結果、Aくんは
・成功した経験がないことには挑戦しない(できない)
・友だち関係をつなぐような会話の経験が非常に少ない
・失敗すると過去の失敗と重なっていやな気持ちになる
という傾向があることが分かりました。そして、Aくんの行動をこのフィ
ルタを通してみると、Aくんが何に困っているのかが分かるようになって
いきました。
 Aくんは、「先生は自分のことをマイナスに見ていない」と思うように
なっていきました。まわりの子ども達は、Aくんのことをおかしな存在と
し見ることが少なくなっていきました。
 1番変わったのは、Aくんに対する私のまなざしだと思います。私たち
教師のまなざしには、私たちが考えている以上に強い力があります。その
まなざしを目の前の子どものことを分かろうとする方向に変えることが、
インクルーシブな教室を創るはじめの一歩だと思います。 
   
授業づくりネットワーク誌の最新号
http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 昨秋、菊池省三さんのはからいで、北九州を訪問する機会を得ました。
たくさんの仲間とお話ししましたが、中でも一番たくさんお話しする機会
が持てたのは、神吉さんでした。神吉さんご自身が書いていらっしゃる通
り、神吉さんの勤務環境は大変厳しいものがあるようです。しかし、その
中で、神吉さんが、一人ひとりに向ける「まなざし」は実に確かで、言葉
かけは実に的確です。本稿から、読者のみなさんにも、神吉実践の力強さ
が伝わったのではないかと思います。神吉さんがご登壇される、授業づく
りネットワーク福岡大会は、2011年8月10日、11日です。どうぞみなさん
ご参加ください。
 神吉さんのブログに、詳細の内容が紹介されています。申し込み方法も
掲載されています。
→ http://plaza.rakuten.co.jp/kamisen/diary/201107190000/
 次回日曜日は、上記大会の詳報をご紹介します。その次の火曜日、8月
の一番手は岡山洋一さん。ワークショップチームです。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第120号(読者数1712) 2011年7月29日発行
  編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)
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メールマガジンの記事を読んでいただいた率直なご意見・ご感想をいただ
けると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたい
と考えています。
 編集長:石川晋
 副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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