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交流及び共同学習の実践報告

学びのしかけプロジェクトメールマガジンからの転載です。

北海道の気鋭の実践家、藤原友和さんによるご論考です。

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
                109号 2011年7月1日発行
                      (毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.「交流の意味」を考える
         「インクルージョン」副編集長
             北海道・公立小学校教諭  藤原友和
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 インクルージョンチームの副編集長、藤原友和さんの原稿です。交流学
級の生徒に焦点を当てたご論考です。          (石川 晋)
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1.「交流の意味」を考える
         「インクルージョン」副編集長
             北海道・公立小学校教諭  藤原友和
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1 「なかよし学級」在籍のAさん

 現在担任している学級は、「なかよし学級」在籍のAさんとの交流学級
になっています。
 学級活動・音楽・総合・書写・体育・道徳・学活・外国語活動・給食時
間を一緒に過ごしています。
 朝の会、帰りの会、清掃活動はなかよし学級で行います。ですから、多
いときは授業3時間+給食時間、少ないときは給食時間だけ交流を行って
います。
 漢字を読むことは苦手だったり、本人にとって予定外のことがあると気
持ちが下がって授業に参加できなくなってしまったりするなど配慮を要す
る部分があります。しかし、「なかよし学級」の担任の先生がついていて、
そうした「学びにくさ」をなるべく抱かせないように支援しながら交流を
行っています。
 本人はとても人と関わることが大好きで,友だちとたくさんお話しした
いという気持ちを持っています。周りの子どももだんだんとAさんのこと
がわかってきたのでしょうか、給食の時などには「一緒に食べよう」など
とはたらきかける子どもが増えてきました。

 毎日、朝と放課後にAさんの様子について「なかよし学級」の担任の先
生と打ち合わせをしているのですが、
「あぁ、ここの活動のところで困っていたんだ。」
「関わってくれる子どもを増やしていかないと交流にならないんだ。」
「Aさんも含めてクラスの仲間という意識は育てられているだろうか」
と、反省の日々です。

2 「みんなと同じ」活動を目指した支援

 先日、学年総合の時間として、3クラスが大教室に集まりました。自分
で設定したテーマについての「探究方法」や「発表方法」を考えるという
2時間続きのコマです。大半の時間がパワーポイントの画面を見ながら説
明を聞き、必要事項をメモするという時間でした。長い時間の説明になり
ましたが、子どもたちはしっかりと話を聞き、ワークシートの記入・交流
もできていました。
 その日の放課後に、Aさんの担任の先生と短い打ち合わせを持ちました。
10分程度のものです。

・パワーポイントを見ている時は、担任の先生が写したとおりにメモを書
 くことができた。
・絵があることが彼女にとってはよかったように思える。
・漢字があると「読めない」といって気持ちが下がってしまう。
・ふりがなを振ってあげると自信を持って取り組める。
・ワークシートを書いているときに、「前の時間に書いたページを開いて
 ごらん。」とアドバイスしたが、そのページを開くのを嫌がっていた。
・交流場面では、テーマが違う友だちとワークシートを見せ合うのを嫌が
 っていた。理由はわからない。「既に処理済み」のことをもう一度なぞ
 るのが嫌なのかも知れない。
・床に座っているときに足を開いて座ってしまい、周りの友だちに「Aさ
 ん、狭いよ。」「やめて」と言われてしまうことがあった。イス席をつ
 くったほうがよいかもしれない。

 だいたい、このような内容です。この打ち合わせ内容を見てわかるよう
に、Aさんが「みんなと同じ活動ができる」ように支援しようとしていま
す。
 もちろん、それは必要なこととは思うのですが、もっと「交流」として
機能させられる余地があるのではないかと思います。

3 どこを目指していくか

「Aさんにとっても、担任している5年生の子どもたちにとっても意味の
ある交流にしたい。」
 そう思って、何かヒントを得ようとWeb上で「交流学級」をキーワード
に検索をしてみました。
 すると、すばらしい実践報告の数々をいくつも読むことができます。
 それと同時に、保護者の方々の切実な思いを綴ったblogもヒットして
きます。考えさせられる内容です。
「たのしく過ごせればいいのだろうか?」
「いずれ、交流学級の子どもたちと共に社会に適応していかなければな
らない。」
「交流学級の先生の意識が大切。」

 読んでいるうちに、「遠くを見て」「今のことを」考えるということの
大切さを改めて感じるようになりました。彼女もいずれ学校を卒業して社
会に適応して生きていく日が来る。交流学級がそのために必要なこととし
て、「今、この場所で」何をすることが「よい」ことなのか。そして、担
任している子どもたちにとってもAさんとの関わりから何を学ぶのかを課
題としていきたいと思うようになりました。

 とはいえ、まずは足下のことからです。
「そういえば、学級の子どもたちはAさんに名前を覚えてもらっているの
だろうか?」という疑問から始まった「この人だぁれ? プロジェクト」。
授業中にはなかなか思うような時間がとれません。そこで、給食時間に給
食を食べる席を日替わりでローテーション(4人の班が7つあります)し
て、「この人誰だ?」と聞ききます。ただそれだけのことですが、覚えて
もらっている子からは歓声が上がりますし、覚えてもらっていない子は自
己紹介しながら必死でアピールします。翌日も「おれのこと覚えた?」「
あの子誰だった?」と自分から話しかける子がいました。

 次に、出し抜けに自分の興味のあることを話し出してしまうAさんと、
「言葉のやりとり」をすることを目指した「30周しりとり」。4人の班
+Aさんで、しりとりが30周することを目指します。Aさんはそれほど語
彙が多くありませんので、30周続けるためには周りの手助けが必要です。
しりとりでは発言順が決まりますので、「自分の話す順番を守れたこと」
「人の言葉を聞けたこと」「しりとりができたこと」など、いくつもほめ
るポイントをつくることができます。また、周りの子どもたちも、Aさん
を助けようと関わる様子の中に、ほめるポイントを見つけられます。

 このように、まずは「お互いのことを知り」「声を掛け合う」場面を意
図的に設定しようとしています。「教室にいて同じことをしている」とい
う段階から、「一緒に学んでいる」段階を目指して実践を始めました。「
かかわりをつくろう」と考え実践し始めると、私の予想以上に子どもたち
は積極的に動き様々な表情を見せます。そこに「リュウも意外と照れずに
関わっているなぁ」「今のヒントの出し方にはサヤの思いやりが表れてい
るな」「ダイはなかなかかかわっていけないな。けど気にはしているみた
いだ」などという発見もあります。

 今後も交流がお互いにとっての「学びの場」となるように、関わりの中
に「あれもできた、これもできた」というほめるポイントを埋め込む「し
かけ」をつくっていきたいと思います。

授業づくりネットワーク誌の最新号
→ http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 <「遠くを見て」「今のことを」考える>という藤原さんの言葉、いい
ですね。「交流の意味」を考え続けるということにも、共感できます。
 「交流学級」の位置づけ自体が、不明瞭、不明確で、まさに、ただ「教
室にいて同じことをしている」(出来ない場合もありますが)だけの状況
になっている学校、学級もたくさんあると感じています。「一緒に学ぶ学
びの場」になるような「学びのしかけ」をつくっていく必要を、私自身も
痛感しています。
 藤原さんは、最新号の授業づくりネットワーク誌にも執筆されています。
 http://www.amazon.co.jp/dp/4761915307/

 次回日曜日発行の110号は、初登場の佐藤美智代さんです。「読書への
アニマシオン」を日本に紹介された中心的なお一人として、読者のみなさ
んにもご存知の方が多いかと思います。ワークショップチームからのご執
筆です!
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第109号(読者数1703) 2011年7月1日発行
編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)
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と考えています。
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