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学習に苦戦している子どもの「学びやすさ」に目を向ける発想を

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(以下転載)

1 学習に苦戦している子どもの「学びやすさ」に目を向ける発想を
「インクルージョン」編集委員
ノートルダム清心女子大学 青山 新吾
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 106号は、青山新吾さん。今春、大学へ転身されてからはじめてのご
執筆となります。新たに教師を目指す学生を育てる立場になられた青山さ
んの最新のご論考です。                (石川 晋)
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1 学習に苦戦している子どもの「学びやすさ」に目を向ける発想を
「インクルージョン」編集委員
ノートルダム清心女子大学 青山 新吾
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 ある小学校での算数の授業。
「習熟度別」に行われているこの授業は、クラスの子どもたちが2つの
グループに分かれている。
 算数という教科で、子どもたちの実態を考えるとどうなるのだろうか。
 算数にかかわる知識・技能が身についている子ども。身についていない
子ども。
 算数の得意な子ども。算数が苦手な子ども。
 算数の好きな子ども。算数の嫌いな子ども。
 算数を学びたい子ども。算数を学びたくない子ども。
 いや、こんなに単純ではないだろう。
 算数が好きだけれど知識や技能の習得が不十分な子どもや、算数が嫌い
だけれど、算数の得意な子どもはいないのだろうか。
 算数は嫌いだけれど学びたい子どもや、算数は好きだけれども学びたく
ない子どもはいないのだろうか・・などなどと思いは募る。

 しかし、この授業の場合のグループの分かれ方はもっとシンプルである
と思われた。
 グループは、算数にかかわる知識・技能の「習熟の度合い」によって分
かれているのである。片方のグループでは「習熟の不十分な」子どもたち、
つまり算数の苦手な子どもたちが学んでいたのである。

 この場合、算数の苦手な子どもたちに対して、どのように授業を進めて
いけるのだろうか。
 授業は、2位数と1位数の加法を扱った単元であった。
 2つのグループの人数は均等ではなく、苦手な子どもたちのグループの
方が少ない人数で構成されていた。  

 私は、苦手な子どもたちのグループの教室に入った。教室には、スクー
ル形式で机が配置されている。
 机の間は、先生が行き来できるように離され、1つ1つの机は、別々に
置かれている。
 担任とは別のベテランの先生が前に立たれ、子どもたちは「ピシッ」と
背筋を伸ばした良い姿勢で、前の先生の方を向いている。
 ちなみに、このクラスを2つに分ける前の、子どもたち全員での授業も
参観させていただいたが、様々な子どもたちが「元気よく」学んでいた。
「元気のよさ」が、集団としての統率のしにくさとも言える気がした。少
なくとも、今、私の前に展開されている「規律正しい」光景とは異なる印
象であった。

 授業が始まった。
 誤解を恐れずに言えば、非常にオーソドックスな授業形態であった。
 問題が黒板に書かれる。
 先生が「発問」される。
 子どもが挙手する。
 「指名」される 
 子どもが発言する。
 先生が「説明」される。
 「わかりましたか?」と理解の確認をされる。
 「はい」という子どもたちの声が教室に響く。
 一人一人の子どもが、ノートに書いて、問題に取り組む・・・といった
形態である。

 一斉授業のオーソドックスな形態だと感じた。
 扱われている課題は、教科書に掲載されている課題である。
 後でもう一つの「苦手ではない」グループも参観したところ、同一の課
題であった。

 同一課題を、同一の一斉授業形態で授業しているわけである。
 2つのグループで違うことは何か?
 グループを構成している人数が違う。
 構成している子どもたち習熟の度合いが違う。
 先生の一人一人への目の行き届き方が違う。

 「苦手なグループ」の子どもたちは、大きな声で発表する。いや、でき
ない子どももいる。指名されても答えられない子どももいる。
 「数え棒」を出して作業するように先生の指示が出た。
 10人の子どものうち3人は、「数え棒」を箱から出す段階で、先生の
指示がわからなかったようである。
 たくさん机上に出し過ぎている子ども。
 指示された色とは異なる「数え棒」を出している子ども。
 隣をチラッと見ているが、隣の活動の様子を見るには、机の位置がやや
遠いようである。いや、そもそも隣を見ながら活動することが推奨されて
いないようである。だからチラッと見る。
 先生は、そのような様子に気付かれ、個々の子どものところへ順番に行
かれて、個別に支援される。
  
 課題に取り組む。
 やはり、取り組めない子どももいる。
 先生は、個々の子どものところへ順番に行かれて、個別に支援される。

 まとめの場面になった。
 自分のことばで発表できる子どももいる。
 発表できない子どももいる。
 黒板にまとめのことばが書かれ、発表できない子どもは、黒板のまとめ
を読む。ノートに写す。

 この授業での算数が苦手な子どもへの「方略」は「教師による個別指導
の時間確保」なのだと感じた。
 そのためには、グループの人数が少ないことは重要な環境要因である。

 同時に、あの子どもたちの「学びにくさ」は何なのだろう・・・と考え
た。
 言語指示の理解しにくさ。
 理解のスピードのゆっくりさ。
 活動のゆっくりさ。
 基礎知識等の不十分さ。
 自信のなさ・・・などなど。

 これらの「学びにくさ」を把握し、それに対しての「学びやすさ」のた
めの「しかけ」を考えるとしたら「教師による個別指導の時間確保」とい
う「しかけ」以外にも考えられるだろうか。
 
 教室環境としての机の配置。
 2人組だったらどうだろう。
 4人組だったらどうだろう。
 指示理解が難しくても、周囲を見ながら理解したり、活動に取り組めた
りすることは子どもたちの「学び」を促進するのだろうか、邪魔するのだ
ろうか?

 授業の冒頭で、いきなり本時の課題提示をせずに、どの子どもも答えら
れたり、振り返ったり、繰り返したりできるような活動を最初に入れて、
教室の空気を暖めたらどうだろう。
 同一課題提示をやめて、課題の複数提示はどうだろう。
 同一活動を同一スピードで進める形態を止めて、個々の活動の速度の違
いを前提にしたらどうだろう。
 これらの発想は、子どもたちの「学び」を促進するのだろうか、邪魔す
るのだろうか?
 
 授業のアイディアは、子どもや集団の実態、教材や授業の目標等によっ
て採用できたりできなかったりするものである。先ず大切なのは、アイデ
ィアの中身を検討することよりも、「教えやすさ」の発想だけではなく、
学習に苦戦している子どもたちの「学びやすさ」へ対応するという発想を
持つことだと考える。

 学習に苦戦している子どもたちへの「しかけ」を意識してみたい。その
「しかけ」に「子どもの学びにくさ」に目を向ける発想を持ちたいと考え
始めたこの頃である。

授業づくりネットワーク誌
→ http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 大変な共感を持って読むことが出来ました。
 一斉授業中心の授業スタイルの問題。習熟度別学習の問題。生活班を固
定的に学習グループとして活用する問題。青山さんのご指摘は、私自身が、
中学校という場所で、考え、取り組み始めている問題と、見事に重なりま
す。「アイディアの中身を検討することよりも」「学びやすさ」の発想を
というご指摘、大いにうなづけます。
 今号発行の前に本メールマガジンの購読者が1700人になりました。昨年
4月は1460人からの出発でした。たくさんの読者の方に支えられての発行
です。感謝申し上げます。

 次回日曜日発行の107号は、初登場佐々木潤さん。甚大の被害が出てい
石巻からの情報発信です。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第106号(読者数1700) 2011年6月24日発行

編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)
  ぜひ、読者のみなさんの声をお聞かせ下さい!
編集長:石川晋
副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之

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コメント

目から鱗…な感じです。「学びやすさ」かぁ。保育にも必要な見方ですね。子育てにも~。子どもにとって入りやすいことばかどうか?理解できる表現か?片付けろ片付けろというけれど子どもがひとりで片付けやすい環境なのか?とか。
あっ…ちょっとずれてます?

投稿: かめ | 2011年7月 9日 (土) 22時48分

かめさん こんばんは
暑いけれど元気かな?
コメントありがとう。
ずれてなんかないですよ。
特に最近「環境デザイン」を
意識して現場を見るように
なりました。
また「学びやすい」しかけ
に着目するようになりました。
今日も、とある幼稚園に伺い
「しかけ」の工夫をあれこれ
考えてきたところです。

投稿: 夢追い人 | 2011年7月12日 (火) 00時08分

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