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2011年5月

多様な学び方に対応するためにー各自の強みー

 山形県の増川先生のご論考です。

 子どもたちの多様な学び方に対応するためには、教師各自の「強み」を

活かせることが大切だ・・・と強く思います。

 一人でなんでもかんでも全部できないし・・。

 いろいろな教員が、いろいろ人が「それぞれの強み」を活かすことを

教わりました。

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
                93号 2011年5月20日発行
                        (毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1 インクルージョン発想の授業づくりその2
     「インクルージョン」編集委員
       山形県・公立小学校   増川 秀一
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 インクルージョンチームから、増川秀一さんです。「活動を中心とする
授業」の記録として、抜群の切れ味です。じっくりお読みください。
                           (石川 晋)
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1 インクルージョン発想の授業づくりその2
     「インクルージョン」編集委員
       山形県・公立小学校   増川 秀一
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 今年度、私は小学校6年生23名を担任しています。現在、市の陸上競
技大会に向け、毎日練習に励んでいます。私が勤務する市の陸上競技大会
では、原則として市内の6年生全員が100Mと70Mハードルに出場します。(
車いすにのっている子どもさんは、その子に合った距離で100M走のみ出場
します。)以下、陸上練習の1コマです。

 100M走の動き作りということで、私が子どもたちに動き方のモデルを示
しながら「こきざみ走」「もも上げ走」「大また走」などの練習を進めて
いました。「こきざみ走」は走り初めにピッチを上げ、スピードをつける
ための練習。「もも上げ走」「大また走」は、一歩あたりの歩幅を広くす
ることをねらっての練習です。
 しかし、体格がよく体重のあるK君やT君は、「うでを速く、大きくふっ
て。」「ももをもっと高く上げて。」などの声がけを行ってもなかなかう
まくできません。くり返し練習しても、走り方にほとんど変化は見られま
せんでした。そこで、このような状況を何とか打開したいと考え、翌日、
体育指導を得意とされているN先生に相談しました。すると早速、以下の
ような指導を行っていただきました。

 まず、N先生はグラウンドの100Mコースの1レーンから4レーンまでにミ
ニハードルをならべました。1レーンには50cm間隔で10台、2レーンには
60cm間隔で10台、3レーンには70cmメートル間隔で10台、そして、4レーン
には80cm間隔に10台のミニハードがならべられました。子どもたちは、
「これから何をするのだろう。」と、興味深く見つめていました。
 次に、N先生の「一歩ずつのリズムで、ミニハードルに足をぶつけない
ように跳びましょう。」といった指示で、子どもたちは、50cm間隔のミニ
ハードルを跳び始めました。最初は途中でリズムがくずれ、「うわあ、ぶ
つかる。」などとさけび、ミニハードルを蹴り上げる子どもが多数いまし
た。しかし、50cm間隔のミニハードルを確実に跳び越えようと、楽しそう
な表情を浮かべなから夢中で取り組んでいました。しだいに、多くの子ど
もがトン・トン・トン・トンといった1歩ずつの同じリズムでミニハード
ルを跳ぶことができるようになってきました。私が注目していたK君やT君
も、ゆっくりなペースでしたが、1歩1歩確実に手足を動かしながら練習に
取り組んでいました。
 3回目ぐらいになると、幅のせまい50cmのミニハードルを跳ぶ子どもた
ちの動きにも変化が表れてきました。うでをこきざみにふり、ももをすば
やく上げながら、速いリズムで正確に跳び越える子どもたちが増えていっ
たのです。K君も、うでを動かすリズムが速くなり、4回目には、10台全て
のミニハードルを跳び越えることができました。T君もミスはしたものの、
リズムよく跳び越えることができるようになっていました。
 その後も、60cm幅、70cm幅のミニハードルを4回ずつくり返し、いよい
よ最後の80cm間隔のミニハードルへの取り組みが始まりました。「何だか、
ハードルとハードルの間が広いよね。」などのつぶやきも聞こえましたが、
子どもたちもやる気満々の様子でした。
 80cm間隔のミニハードルの場所では、50cm間隔のハードルの場とはちが
い、一歩あたりの歩幅を大きくする必要があります。1回目は、スピード
が足りなかったり、歩幅がせまかったりといった理由で失敗する子どもが
多く見られました。しかし、次第にうでを大きくふり、大またで走る子ど
もたちの姿が見え始めてきました。そして、3回目にはK君やT君も、トー
ン・トーン・トーンといったリズムで跳び切ることができるようになりま
した。私が、何度声がけをくり返しても、正しいこきざみ走や大また走の
できなかった2人が、N先生が用意された場で練習したことでできるよう
になりました。
 では、N先生はどうして上記のような指導を行うことができたのでしょ
うか。私は、前回のメールマガジン(72号:2011年2月11日発行)で、特
別なニーズのある子どもに対応した、教師の授業づくりへの発想の視点と
して、(1)子どもの学び方の把握、(2)授業目標の設定、(3)教師の引き出
しの3点を提案しました。再度、この3つの視点に当てはめながら、上
記のN先生の実践を考えていきたいと思います。

(1)子どもの学び方の把握
 「子どもの学び方の把握」とは、教師が子どもの学び方の特性を見取り、
子どもの多様な学び方に対応した授業を仕組んでいくことが大切であると
いう考え方です。
 N先生は、K君やT君は体格が大きく、昨年度の校内マラソンでも最後尾
を苦しそうに連なって走っていたことを知っています。さらに、 A走る
ことに苦手意識はあるが、互いに負けたくないというライバル心を持って
いる。 Bただ走るだけの練習では意欲が続かず、なんらかのゲーム性が
あると学習にのってくる場合が多い。といった情報も私との会話から得て
いました。
 N先生が設定した練習の場は、1回の走る距離が短く、ミニハードルの高
さも20cm程度と低いために、体格のよいK君やT君にとっても抵抗感が少な
く、簡単に跳び越えることが出来そうに感じます。しかし、実際にやって
みると、ミニハードルに足をぶつけたり、リズムをくずし失敗したりする
子どもが多く見られました。このように、「簡単にできそうだけれど実際
にやると難しい。でも、練習すれば何とかできそう。」といった状況が、
「次こそは失敗しないぞ。」といったK君、T君のやる気を促すともに、「
○君には負けないぞ。」といったライバル心をくすぐり、練習意欲を高め
るきっかけになったと考えられます。

(2)授業目標の設定
 「授業目標の設定」とは、教師が具体的な目標から抽象的な目標へと設
定を変えることで、子どもの感性や創造性、個性の尊重に向かう授業への
可能性が高まっていくという考え方です。
 上記の実践で、私は、「手足をこきざみにすばやく動かす」「うでを大
きく速くふって、大またで走る」などと、手足の動かし方を具体的な目標
として子どもたちに示しました。それに対し、N先生は、「一歩ずつのリ
ズムで、ミニハードルに足をぶつけないで跳ぶ」といった、手足の動かし
方には全くふれない抽象的な目標を子どもたちに示しました。
 具体的な目標が示された「こきざみ走や大また走」と違い、目標の抽象
度が高い「間隔の違うミニハードル」の練習の場合、子どもたちは、うで
のふり方やももの上げ方といった技術的なことよりも、間隔の違うミニハ
ードルを、できるだけ速く、正確に跳び越えることだけを考え、夢中にな
って練習していました。結果として、「うでを速く、大きくふって。」「
ももをもっと高く上げて。」などの声がけを行ってもなかなかうまくでき
なかったK君やT君が、N先生が用意した「間隔の違うミニハードル」でく
り返し練習することにより、こきざみ走や大また走で必要なうでのふり方
やももの上げ方の感覚を身につけることができました。さらに、K君やT君
以外の子どもたちもくり返し練習に取り組み、それぞれのミニハードルの
場に合った走り方を感覚的に身につけることに成功しました。
 以上の様子から「間隔の違うミニハードル」といった活動は、子どもた
ちの学びやすさという点からも有効であったと考えられます。では、「間
隔の違うミニハードル」という場作りの発想を、N先生はどこで習得され
たのでしょうか。

(3)教師の引き出し
 「教師の引き出し」とは、それぞれの教師が、これまでの実践や研修等
で身につけてきた指導技術や授業ネタ、アクティビティー等の財産のこと
です。 
 N先生は、市内の小中学生が所属している陸上チームの指導者としても
活躍しており、そこで、様々な練習方法や用具の使い方を考えたり、強豪
チームの練習視察から新しい練習方法を学んだりしています。また、市販
の鉄でできているミニハードルは、値段が高い上に、足に当たると痛いと
いう理由から、今回使用したミニハードルは、N先生が塩ビ管で自作され
たミニハードルであったこともわかりました。
 結果として、K君やT君をはじめ、運動に苦手意識を持っている子どもた
ちは、ミニハードルに足をぶつけても傷みを感じることがなかったため、
スピードを落とすことなく、くり返し練習に取り組むことができました。
用具に対する子どもが抱く恐怖心までも配慮しながら場づくりが行われて
いたことに驚くとともに、N先生の持つ引き出しの奥深さを感じることが
できました。
 N先生からは、「これまでは、教師がこきざみ走や大また走など、走り
方の部分を取り上げ、子どもたちに走り方を説明しながら指導してきた。
しかし、ミニハードルの間隔を変えてならべることで、子どもたちに、
こきざみ走や大また走の感覚を自然に身につけさせることができる。陸
上指導も、こちらが走り方を教える指導から、走りに必要な感覚を自然
に獲得できるような場づくりを工夫する指導へと変わってきているよう
だ。」といった内容の話をお聞きしました。そして、N先生が上記のよう
な指導スタイルに変わったきっかけとして、 A所属している陸上クラ
ブでは、練習の場づくりを工夫することで、競技に必要とされるな動き
や感覚の育成がさかんに行われていること B過去に、授業成立が難し
いと言われた学級の体育授業でも、場づくりを工夫することで、運動に
対する子どもたちの意欲が高まり、結果として技能を高めることができ
たという経験 C効果的な場づくりを考え、実践し、子どもたちの意欲
や技能に高まりが見られた時の教師の楽しさ等をあげていました。
 N先生は、研修会等で新たな練習の場づくりを学ぶと、それらを再度
実践し、子どもたちがより楽しく取り組めるように、アレンジを加える
姿をよく見かけます。さらに、グラウンドには、授業前にすぐ白線を引
くことができるよう、目印となるマーカーが事前に打ち込まれています。
このような、授業前の周到な準備の積み重ねからも、N先生の場作りに
対するこだわりを感じることができます。そして、そのような教師のこ
だわりや自主的な学びが、「教師の引き出し」の更新を促す上で大切な
要因となっていることがわかりました。

 以上、(1)子どもの学び方の把握(2)授業目標の設定(3)教師の引き
出しといった3つの視点をもとに、N先生の実践について考えてみまし
た。その結果、N先生の実践では、「運動技能を教える指導から、運動
に必要な感覚が自然に獲得できるような場作りへのシフト」といった学
びのしかけを明かにすることができました。また、「子どもの学び方の
把握」を前提としながらも、「教師の引き出し」、つまり、N先生のこ
れまでの指導経験やこだわりといった要素が、今回の授業発想のもっと
も大きな要因となっていたことがわかりました。  
 今後も、この3点を意識することで、インクルージョン発想の授業づ
くりを進めていくことができるのか、様々な実践に当てはめながら考え
ていきたいと思っています。

授業づくりネットワーク誌
→ http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 記録と分析の素晴らしさもさることながら、ぼくが注目したのは、N先
生と増川さんのかかわり合いということになります。ぼくは中学校の教師
です。中学校は周知の通り、職員同士のチーム意識が様々な学習活動を進
める上で大変重要なのです。ですが、小学校の場合は、多くは学級の中で
様々な問題が解決されていくことが多いように感じています。同僚の得意
をリサーチしていること、そして協同で指導に当たろうとする姿勢、この
あたりを増川さんがどのように身につけていったのか。ぼくも増川さんの
ライフヒストリーに興味が高まりました。
 次号は日曜日。ワークショップチームから、初登場岡山洋一さんです。
ディベートトレーナーとして、そしてファシリテーターとして、注目の仕
事を長くされてきた方です。お楽しみに。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第93号(読者数1678) 2011年5月20日発行

編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)
  ぜひ、読者のみなさんの声をお聞かせ下さい!
編集長:石川晋
副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之

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学びやすさに目を向けた授業

 学びのしかけプロジェクトのメールマガジン。

田中博司さんのご執筆原稿です。

 一人一人の学びやすさに目を向けた授業

を目指したお取組、お考えが綴られています。

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
                89号 2011年5月10日発行
                        (毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1 授業を支える2つの安心感  
         「インクルージョン」編集委員
                東京都・公立小学校教諭 田中 博司
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 週3回発行のいよいよ一回目。「インクルージョン」検討チームから、
田中博司さんです。                  (石川 晋)
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1 授業を支える2つの安心感  
         「インクルージョン」編集委員
                東京都・公立小学校教諭 田中 博司
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1 はじめに

本メルマガでの連載も2年目になりました。改めて自己紹介をします。
私は、通常の学級での特別支援教育に関心をもち、授業づくりを考えて
きました。そして従来の教師主体の授業スタイルの中で、だれでもわかり
やすい、
取り組みやすい授業づくりに取り組んできました。けれどもここ数年は、
より個々の力を伸ばすためには、多様な学び方に対応できる授業スタイル
が必要だと思い、子供主体、活動中心の授業づくりに取り組んでいます。
一方最近では、仕事の立場上、担任としてではなく、学級を外側から見
て助言したり、授業をいっしょにつくったりする役割を担う機会が増えて
きました。そして、このように外側から先生と授業をつくる場合、果たし
てどういった授業スタイルから伝えていけばよいか迷うことが少なくあり
ません。
そこで、今回は、外側からかかわったある学級の様子から、個を意識し
た授業づくりについて考えてみることにします。

2 ある授業の様子から

ある若い先生の国語の授業を参観しました。教師主導の一斉授業です。
授業では、先生が話している時も、友だちが発表している時もどこかで
声や音がしています。子供たちは全体的に集中力を欠いている感じです。
特にAさんは落ち着きがありません。イスを斜めに傾けていて、後ろの
子の机に何度もあたっています。消しゴムがないようで、となりの子のも
のを借りています。その子に小声でしゃべりかけている様子も見えます。
まわりの子は、明らかに不満や不快感を抱いています。けれども担任の先
生は気がついていないのか、特に何も言いません。
一方で、Bくんは、くり返し担任に叱責されています。何度約束しても
すぐに勝手にしゃべってしまうこと、ノートを先生の指示通りに書いてい
ないことが主な要因なようです。

数日後、このクラスで算数専科の先生が授業をしていました。授業は同
じく一斉授業の形態です。この授業を私は若い担任の先生といっしょに参
観していました。
担任の先生の授業に比べると、子供たちは集中して授業に取り組んでい
ます。
授業の後、担任の先生は、私にこんな風に言いました。
「○○先生は、そんなに厳しく言っていないのに、なぜみんなが集中でき
るのか。自分はほめたいと思っても怒ってばかりだ。それなのにみんな静
かにならない。」

実はこの日の授業で、この算数専科の先生は2度厳しく怒っています。
1つめは、となりの子のものを勝手にいじっていたAさんに対してです。
2つめは、友だちの発表について馬鹿にした発言をしたBくんに対して
す。でも、Bくんが叱られたのはその1回だけです。他のBくんの余計な
発言は無視されていました。でも、授業に関する発言の時はとりあげられ
て、時にはほめられていました。きちんと書いていないBくんのノートに
は、専科の先生自身が時々必要なことを書き込んであげていました。
そのことを若い先生と確認した後、この専科の先生は、担任の授業には
ない2つの安心感を子供たちにもたせていると話をしました。
1つめは、子供たちが傷つくことなく学級にいられるという安心感です。
専科の先生は、まわりの子に不快感を与えているAさんと、発表した友だ
ちを傷つける発言をしたBくんを厳しく叱りました。相手に嫌な思いをさ
せる行為は許さないという現れです。
2つめは、自分にもできるという安心感です。叱責の多かったBくんで
すが、発言についてあまり叱られることはなく、逆に何度かほめられまし
た。きちんと書いていなかったノートは先生の手助けのおかげできれいに
仕上がっていました。

こんなやりとりを通して、私は授業づくりにまず大事なことは、この安
心感なのではないかと強く感じました。そして、この2つの安心感をもと
に、若い先生との授業づくりについて考えてみました。

3 2つの安心感から授業づくりを考える

若い先生には、まずは教師主導の一斉指導がきちんとできるように伝え
ることが多いです。けれどもそうした授業がうまくなっても対応できない
ケースも増えています。一斉指導だけでは、「できない」「わからない」
子が増えてきているからです。
でも、一斉指導の中でもこうした子供たちにうまくかかわっている授業
もたくさんあります。それは、教師が、子供たち一人一人に「できる」「
わかる」という安心感をもたせようという配慮や支援をしている授業です。
このように教師が子供たち一人一人の「自分にもできる」という安心感
を意識してはじめて、個に対応した一斉指導が成り立つのだろうと考えま
す。

ただ、現在の社会では、個に配慮した一斉指導だけでは十分ではなくな
ってきています。より多様な学び方を意識したインクルーシブな授業づく
りが求められてきています。
けれどもこうした授業スタイルは、なかなか若い先生には伝えにくいで
す。それは、学びやすさを意識したインクルーシブな授業づくりは、学級
の中に、どの子も、自分は傷つけられないという安心感が育っていないと、
なかなかうまくいかない授業だと思うからです。
なぜなら、こうした授業は「活動」「子供主体」「かかわり合い」が中
心になります。こうした要素は、子供たちが互いに安心できる関係でない
となかなか成立しにくいものです。
私は、本メルマガの執筆者でもある岩瀬直樹氏の実践をインクルーシブ
な授業として1つの理想としています。その岩瀬氏の学級づくり・授業づ
くりが書かれた本が出されました。『よくわかる学級ファシリテーション』
(解放出版社)です。
その中に岩瀬氏のこんな言葉が書かれています。
「教室は、安心、安全の場所だから、人の心や体を傷つける行動は怒る
よ」
岩瀬氏は、学級づくりの早い段階で子供たちにこう話すそうです。
こうした教師としての強い意志をもって、子供たち一人一人に、「自分
は傷つけられることはない」という安心感をもたせられるようになること
が、学びやすさを意識した子供主体、活動中心の授業を成立させていく大
きな要因になるのだろうと思います。

4 終わりに

 自分の教室を見ていても、まわりの教室を見ていても、多様な子供たち
の多様な学び方に応える授業ができたら、この子たちはもっと学校が楽し
くなり、もっと力をつけられるのだろうなと思うことが少なくありません。
でも、自分自身でもそんな授業にはまだ遠く及びませんし、まわりの先
生にそれを伝えていくことは更に難しいことです。
どうすれば私たちの授業がそんなインクルーシブな授業に近づいていけ
るのか、この連載を通して考えていきたいと思います。

授業づくりネットワーク誌
→ http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 田中さんは、「インクルーシブな授業」に「遠く及びません」とご自分
の授業のことについて謙遜されてます。ただ、一読して私は、田中さんに
寄り添ってもらい、価値づけ・分析をしながら共に学んでいける若い同僚
の方がとてもうらやましいなあと思いました。
 岩瀬直樹さんの本、実は今春二冊刊行になっています。田中さんご紹介
の『よくわかる学級ファシリテーション』(解放出版社)はこちら。
 http://www.amazon.co.jp/dp/4759221476/
 そしてもう一冊の『クラスづくりの極意』(農文協)はこちら。
 http://www.amazon.co.jp/dp/4540102516/
 それぞれ手に入れることができます。
 次号は13日。ワークショップチームから山田将由さんです。どうぞお
楽しみに。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第89号(読者数1671) 2011年5月10日発行

編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)
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副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之

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多様な学び方を実感する

 転職してから初めてのGW.

 カレンダー通りに出勤だったので、きれいな飛び石

となった。

 2日間だけは仕事。後は、自宅の片付けや息子の

ソフトボールの試合など、すべて家族との時間とした

GWだった。

 若手、中堅の先生方など10人程で、初めての

集まり、学びのしかけ研究会を企画した。一切広報せ

ず、完全クローズでの企画とさせてもらった。まだ、

オープンにできるだけのコンテンツも発信力もない

からである。

 内容については、今後アウトプットできるように

頑張ろうと思う。

 この研究会では、「学び方の多様さ」について

愚直に考えていこうとしている。

 先日の会の冒頭、参加者の持っている情報量の

差異をある程度埋めようという意図で、基本文献

5本を各自読みこむ時間を作った。その際、

別室にも机を出したり、研修室に、関係する文献を

置いたり、お菓子、飲み物をセルフサービスで用意

するなど、環境設定を考えた。

 同時に、再開の時刻を示し、それまではご自由

に行動していただくように話した。すると、その場

の最初の席で黙々と読み込むメンバー、別室で

声を出しながら読み込むメンバー、早速お菓子を

物色し(^^)、ほおばりながら目を通すメンバー、

部屋の中を時折動きながら、参考文献に目を落

としているメンバー、窓の外を時折眺めながら

読み込むメンバーなど、様々な動き方があった。

 これ、まさしく「多様な学び方」が見えかけた時

間ではないのかな・・・と感じたひとときであった。

もちろんこれ、「学びのしかけ」を考えるために

意図的に仕組んでおいた時間であった。

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学びのしかけメールマガジン最新号

 学びのしかけプロジェクトにかかわって、学んでいます。

 週に3本のメールマガジンが発行されています。

 最新号のご紹介です。

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 87号、佐内信之さんの原稿です。

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
                87号 2011年5月3日発行
                         (毎週火金発行)
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★目次★
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1 ハイブリッドチーム発進!
          「ハイブリッド」副編集長
              東京・杉並区立方南小学校  佐内 信之
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 連休の最中です。行楽地へ、また東北へのボランティアへ…いろんなと
ころへ出かけていらっしゃる方も多いかも知れませんね。新たに「ハイブ
リッド」チームの副編集長に就任していただいた佐内信之さんの論考です。
                           (石川 晋)
------------------------------------------------------------------
1 ハイブリッドチーム発進!
          「ハイブリッド」副編集長
              東京・杉並区立方南小学校  佐内 信之
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 読者のみなさん、はじめまして。本MMでは「オムニバス」というテー
マで、技術論を中心に「学びのしかけ」について考察を進めてきました。
 http://archive.mag2.com/0000158144/20100514233000000.html

 このたび、本プロジェクトの4本柱の一つとして、「ハイブリッド」と
いうテーマを掲げ直すことになりました。
 http://archive.mag2.com/0000158144/20110426230000000.html

 本MMの再スタートにあたり、ハイブリッドチームの副編集長を務めさ
せていただくことになりました。新しいメンバーも加わり、一層パワーア
ップしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

■自動車における新技術と旧技術

 ところで、そもそも「ハイブリッド」とは何でしょうか? 真っ先に思
い浮かぶのは「ハイブリッド車」かもしれません。ガソリンと電気を組み
合わせて効率よく走る車は一時期、なかなか手に入らないくらい人気でし
た。私が運転しているのは従来型の車ですが、急加速や急停止を避けて、
なるべく余計なガソリンを使わないように心がけています。そんなとき、
「新型のハイブリッド車なら低速時に電気だけで走れるんだよ」と聞き、
うらやましく思ったものです。

 私の周りでも、実際にハイブリッド車を目にする機会が増えました。す
ると、聞いただけでは分からなかった点が気になり始めました。ふと気が
つくと、目の前に車が近づいていたことが何度もあるのです。特に、2歳
の息子を連れて散歩しているときです。車好きの彼は、ガソリン車が走っ
てくると「ブーブきた!」と言って指さします。ところが、ハイブリッド
車が電気で走っているときは、静かすぎて気づきません。車庫入れのため
にハイブリッド車が歩道を横切るとき、あわてて彼の手を引いたことが何
度もあります。

 従来のガソリンと新しい電気を組み合わせるハイブリッド車は画期的で
すが、注意すべき点もありそうです。その一つが、音の問題と言えるでし
ょう。ガソリンによる排気音が無くなったにもかかわらず、わざわざハイ
ブリッド車では警告音が出るようにするという話も耳にします。

■クイズにおける新技術と旧技術

 ハイブリッド車における新旧技術の混交のような話を、授業づくりにつ
いても当てはめてみましょう。

 私は10年ほど前、「学習ゲーム」という、当時としては新しい授業づ
くりに取り組んだことがあります。たとえば、次の「教科書〇×ウルトラ
クイズ」(『小学校理科の学習ゲーム集』学事出版)です。

*********************************
1 教師は教科書からクイズにふさわしいテーマの単元を選ぶ。
2 子どもたちはテーマに選ばれた単元ページをグループ内で分担し、○
 ×クイズを作る。
3 グループ内で相談しながら、一人一問ずつ○×クイズの出題者を決め
 る。
4 グループごとに出題し、他の子たちがウルトラクイズ(勝ち残り)方
 式で解答する。
5 グループの出題を終えて、勝ち残っていた子がチャンピオンとなる。
 http://jugyo.blog.so-net.ne.jp/2009-07-05
*********************************

 クイズづくりを通して、子どもたち自身の活動が中心となる授業になる
よう心がけていました。このような活動型の授業に、今後も取り組んでい
きたいと思っています。ただし、全く新しいものを開発するのではなく、
今までの蓄積の中から、活かせるものを取り上げていきたいです。

 たとえば、クイズに関して言えば、「発問」という技術の検討は、避け
て通れないでしょう。この「クイズ型発問」という従来の技術を意識しな
がら、先日、4年生の算数で次のようなやり取りを行いました。授業の冒
頭で、子どもたちの「おこづかい」について雑談をした後です。

『ところで、先生が小学生のとき、おこづかいはいくらだったと思う?』
「1000円?」
「10000円?」
『正解は……10円でした』
「え~、たった10円?」
『そうです。でも、1日10円です。だから、10日ためると……』
「100円!」
『買いたい物があるときはガマンしました。もし100日ためると……』
「1000円!」
「そんなにガマンできないよ!」
『そう、1000円は1回も実現しませんでした(笑)』

 ほんの数分のやり取りです。けれども、おこづかいの「クイズ型発問」
をきっかけに、子どもたちは自然と十進位取記数法の解説に耳を傾けてい
ました。

■クイズにおけるハイブリッド

 子どもたちによる「クイズづくり」と教師による「クイズ型発問」、ク
イズを取り入れた二つの授業にも、新技術と旧技術が透けて見えるように
思えます。

 「クイズづくり」の授業は楽しいです。けれども、子どもたちの考える
クイズは玉石混淆です。クイズのレベルをいかにアップさせるか、その手
がかりを、従来の技術に求められないでしょうか。

 「クイズ型発問」は、その後の「解説」がポイントです。いかに、子ど
もたちが「へぇ~」と納得できるような「クイズ型発問+解説」の組み合
わせを提示できるかが勝負所です。

 そこで、新しい「クイズづくり」の授業にも、従来の「解説」を取り入
れる方法が考えられないでしょうか。つまり、子どもたちがクイズの問題
を作るだけでなく、その「解説」に力を入れる手立てを工夫するのです。
ちょうど、ハイブリッド車に「警告音」を取り入れるように……。

■教育におけるハイブリッド

 上記のような内容を、本プロジェクトリーダーである上條晴夫さんの著
書『図解よくわかる授業上達法』(学陽書房)の「タテ力」と「ヨコ力」
を読み比べながら考えました。

I タテ力
 5 発問する
  (2)正解を問う クイズ感覚の質問をする
II ヨコ力
 10 教具を工夫する
  (1)ワークシート 活動の手順を示す
 http://jugyo.blog.so-net.ne.jp/2009-07-26

 冒頭に紹介した記事でも、上條さんは「ハイブリッド」を次の観点から
説明しています。

・「教えやすさ」と「学びやすさ」
・「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」
・「教えなくちゃいけないものに導くために上手にコントロールをする」
 技術と「子どもたちの興味・関心を学びの原動力として引き出し組織す
 る」技術

 このような問題について、これからハイブリッドチームで追究します。
「ハイブリッド」という複雑なテーマに対して、チームのメンバーが具体
的な授業の事実を通して、省察を積み重ねていきます。ご期待ください!

授業づくりネットワーク誌
→ http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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 連休の最中ですが、私は、子どもたちの体育祭の応援演技練習のために、
連日出勤しています。子どもたちは、応援演技に使う曲を選んでいるので
すが、複数の曲を掛け合わせて、一曲の場合よりも効果をあげようとして
います。一方で、制限時間とのにらめっこ、上手な組み合わせ方などで頭
を悩ませています。
 「新旧」ハイブリッドについてはもっと詰めて考えたいところではあり
ますが・・・佐内さんの原稿を読みながら「技術のハイブリッド」の際の
効能や留意点について、あれこれと思いを巡らせました。
 次号は5月6日。私(石川)が、新たなライター陣と今後の執筆の予定
について、いよいよ全容をご報告します。素晴らしいライター陣にお揃い
いただくことができました。お楽しみに。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第87号(読者数1667) 2011年5月3日発行

編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com)
  ぜひ、読者のみなさんの声をお聞かせ下さい!
編集長:石川晋
副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之

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